六月
94.[名無しさん] " 孔子には、「道を聞く」ことが、生の究極的な目的だった。「道」とは、道理という一語があるように、世界を支える根本原理である。「道」は「聞かれる」べきものだ、と孔子はいう。ここで「聞く」とは、単に聴覚に訴える行為ではない。「聞」の文字は、もともと神の声を受け容れる者の姿を写し取ったものだった。<br> 「道を聞く」とは、超越の啓示にふれることである。啓示の言葉はいつも、神から人に不可逆的にもたらされる。人は、それを拒むことも、言葉で応じることもできない。啓示はいつも、生きることによって、それが証しされ、具現化されることを求める。また、どんなかたちをとるにせよ、啓示はいつも恩寵である。人はそれを作り出すことができない。恩寵は誰にも区別なくもたらされる。さらにいえば、それはすでにもたらされている。問題は、人間がそれに気がつくか否かにある。"<br><br>(『池田晶子 不滅の哲学』若松英輔,トランスビュー,2013) 06/02 13:04 PC PC
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