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やるべきことはわかっているはずなのに、目的地の曖昧さが人生を漂流物のようにしてしまうのか。 素晴らしい文章や言葉に出会うほど人間との距離感が離れていくのは、読書を逃避行の手段に使っていることに他ならない。 理由はどうあれ、労働の合間に読んだ「タクシードライバー日誌」はいっとき、労働を忘れさせてくれた。 何とも言えない視点というか、自分との絶妙な間合いの取り方に、映画のカメラのような縦横無尽さを感じながら、疾走感あふれる読書体験だった。 "闇にまぎれて、人は孤独と欲望を解放しようとして凶暴になるのだ。言葉が飛躍し、混乱して意味を失う。伝達の機能が麻痺したとき、鬱積していたエネルギーが爆発する。" (「タクシードライバー日誌」梁石日 ちくま文庫) "私はいま前線で傷つき、療養している傷病兵のようだ。傷が治れば、ふたたび前線へおもむかねばなるまい。生きている限り、投降も敵前逃亡も兵役拒否も許されない。現実のきびしい掟があるだけだ。" (同書) 酒でごまかした今日も明らかな負けだった。自分に負け続けるのはよくない。そう思うのに毎日負け続けてあてもなく漂流してしまう。
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