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"子どもの文学ほどの力はなくても、私たち大人も、そういう「肯定の力」を練らなくてはならないと思う。「なくてはならない」という言い回しは窮屈になるので日ごろは極力使わないようにしているのだが、ここはあえてそう言いたい。しぶとくしたたかに、どこかで人生を肯定している力。子どもが「大きくなること」を恐れる気持ちに圧倒されないためには、あるいはそれを待ち望む思いが「力をつけて仕返ししてやる」などという荒みで彩られないためには、大人の側にそれが要ると思う。「否定をどれほど重ねても、いつか肯定へ」と歩を進ませるものは何か。大人がそれを問われているのだと思う。" "そんなことをしたら周囲は怒って不機嫌になり、本人にとっておよそ快とは呼べない状況になるのは目に見えているのに、火のないところにわざわざ火種を起こし、火中に身を投じていく。いや、むしろそれが目に見えるほど明らかだからこそ、その状況を出現させようとしているとさえ思われた。「世界は自分に好意を抱かない」ことを確認するかのように。それこそがしっくりくる世界であり、その中にいる自分だけが確かな自分だ、との手応えを得ているみたいに。" (『児童養護施設の心理臨床:「虐待」のその後を生きる』内海新祐、日本評論社) http://amzn.asia/d/is5BoSR とても良い本だったので、自分がグッときた箇所を引用してみました。 今年もいっぱい本を読んだけど、特に多くの気づきや励みを与えてくれた本でした。
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