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“けれども、不当な、責任のない人にかぶせられた憎悪は終わることがなく、決して安らうこともありません。そのような憎悪は、現実に覆いをかけ、正しく知ることを妨げますから、人を惑わします。それは破壊的です。なぜなら抑圧された破壊の物語から生まれたものだからです。その破壊の物語の残虐さは、身体じゅうにいっぱいに記憶されています。憎悪は魂を毒し、心の記憶を喰い破り、ものごとを見通す力や感じとる力を殺すだけでなく、根本のところで理性をも殺します。自己欺瞞の土台の上に建てられた建物は、遅かれ早かれ崩壊し、情け容赦なく人の生を破壊します。破壊されるのは、その建物を作り上げた人の生でなければその人の子どもたちの生です。子どもたちは両親の嘘を何となく感じていながら、はっきり認識することが許されず、まさにそのために壊れてゆきます。つまり子どもたちは両親の逃れた危機の代償をすべて支払わされるのです。” (『[新版]才能ある子のドラマ-真の自己を求めて-』アリス・ミラー 著、山下公子 訳、新曜社)
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